守りたい人
7人はナギ平原に到着した。

「うわ〜広〜い」
リュックは呆然という顔で辺りを見回していた。
「ここがジェクトさんや父さんが『シン』と戦った所なんだね」
「え・・・あ、ああ・・・」
「?」
ユウナは首を傾げてティーダの顔を覗き込んだ
「どうか・・・したの?」
「いや・・・だいじょうぶッス・・・」






  あいつは・・・すべて承知の上で召喚士の道を選んだんだ・・・。




  何をしても召喚士の自由だ。   その時がくるまでな。




  キマリが先に行く。ユウナの前は、キマリが守る。




  ガードは、召喚士を遠くから見守るだけなのよ。  その時が来るまでね。




  究極召喚を発動したら、ユウナは・・・ユウナは・・・。




  召喚士は、スピラの希望の光・・・なんだよね・・・。





「みんなは先に旅行公司へ行ってくれ」
『え?』
全員が振り返った。
「ちょっと・・・一人になりたいんだ・・・」
「なんでー?どうかしたの?」
リュックが聞き返す。
「いや・・・」
「いいだろう。みんな、先に行くぞ。」
アーロンはティーダの顔をちらっと見た。
「ゆっくり考えろ。」
「ごめん・・・」




ティーダは巨大な谷を目の前にして座り込んでいた。

「はぁ・・・まだ悩んでんのか・・・俺・・・」
ティーダは、『シン』を倒すには召喚士の犠牲が必要なことを知り、深く悩んでいた。
「俺は・・・ユウナを・・・守れるのか・・・?」



「?!」
「だーれだ?」
「ユウナ?」
「当たりー!」
ユウナも隣に座った。
「何か・・・元気無いね」
「ユウナ・・・」
「何?」
「いいのか・・・?スピラのために自分を犠牲にしても・・・」
ユウナはふっと笑った。
「そんなことを気にしてたの?」
「何がおかしいんだよ」
「だって・・・キミらしくないじゃない?」
「そう・・・かな・・・」


「俺って・・・バカだよな・・・、今頃こんなことで悩むなんて・・・」
「ホント、大バカだね」
「お、大バカ?」
「キミは、私にとって・・・最高のガードだよ」
「そんないいもんじゃないさ・・・」
「そんなんじゃ・・・私を守れないよ?」
「守るに決まってるだろ・・・絶対・・・」
「よかった・・・嘘つかないでよ」


「ユウナ・・・どうして・・・俺だったんだ?」
「え・・・?」
「どうして・・・こんな俺を・・・ガードにする気になったんだ?」
「え・・・それは・・・」
突然の質問にユウナは動揺した。
「だって・・・私・・・」
空白の時間がしばらく続いた。



「敵だ!」
「え!?」
後ろには、キマイラブレインが近づいてきた。
「行くぞ!ユウナ!」
「あ、ダメ!アイテムや杖をリュックに預けてきちゃった!」
「俺の剣ならある。ユウナは逃げろ!」
「ダメだよ!どんな敵かわからないのに一人で戦うなんて無理だよ!」
キマイラブレインがアクアブレスを放った。
「キャア!」
「ユウナ!」
続けてキマイラブレインはティーダに突撃をした。
「ぐわぁっ!」
「あっ!」
ナギ平原に来て休んでいないティーダは、瀕死状態になっていた。
「ユウナ・・・逃げろ・・・」
「嫌だ・・・私・・・」
「早く!」
ライオンの顔をしたキマイラブレインの一部が、ユウナに向かってメギドフレイムという技を放った。
「あ・・・」
「ユウナー!」
ティーダは思い切り剣を振りかぶり、その火の玉を切りつけた。
火の玉と剣がぶつかり合い、物凄い火花が散っていた。
「うああああああ!!」
ティーダはじわじわと後ろに押されていく。
「くそぉ!!!」


「!」
剣を握っているティーダの両手に、別の2本の手が現れその手を握り締めた。

「ユウナ・・・!」
「ダメだよ・・・諦めちゃ・・・嘘ついたら・・・許さないよ・・・」
「ユウナ・・・」
「私はキミに命を預けたんだよ・・・」
「命を・・・」
「私を・・・守って・・・」
その言葉を聞いてティーダの心は動いた。


  
    そうだ・・・俺はユウナのガードなんだ・・・。

    ガードとは何だ。

    召喚士が命を預けてもいい信頼できる仲間。

    ガードの使命とは何だ。

    命を賭けても召喚士を守る。

    そうだ、何も悩むことなんか無い。

    俺はユウナを守る。

    俺はガードだから・・・。

    絶対に・・・



「ユウナ・・・」
「え・・・?」
ティーダは振り返ってユウナの顔を見た。
そして笑った。
「絶対守ってやるッス!」
ユウナは優しい笑みを見せた。  

「うおおおおお!」
火の玉はゴムマリのように跳ね返り、キマイラブレインを飲み込んだ。
キマイラブレインは跡形も無く消え去った。




「ユウナ・・・ごめん・・・もう迷いは無い・・・。絶対守ってやるから・・・」
「約束だよ・・・」

「みんなが待ってる・・・行こう」
「うん」




二人は旅行公司へ帰った。

「二人ともどこへ行ってたんだ!心配してたんだぞ!」
「ごめんなさいワッカさん、敵に遭遇してしまって・・・」
「ま、まぁ・・・そう謝られるとこっちも困るが・・・」
「とにかく、二人とも無事で何よりだわ。ユウナ、もう心配かけさせないようにね」
「・・・はい」




「おい」
「え?あ、アーロン・・・」
「もう・・・いいんだな」
「当たり前だろ!」
「ふっ、やはりお前はジェクトの息子だな」
「な、なんだよそれ?」





ナギ平原旅行公司前にティーダは立っていた。
「オヤジ・・・」



「ガード君!」
「ん?ユウナ?」
「一人で何してるの?」
「ん?ちょっと考え事したんス」
「あ!さっきの話だけど、何で私がキミをガードにしたか教えてあげようか?」
「えっ?」

「実は・・・」

「私・・・」

「な、何だよ・・・」
ユウナは走り寄ってティーダを抱きしめた。
「え、え?ユウ・・・」

ユウナはティーダの唇に自分の唇を重ねた。




「・・・だからだよ!」





                                                               THE END
ケット
2001年09月22日(土) 01時08分44秒 公開
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■作者からのメッセージ
小説といっても会話が95%ですね(笑)
勝手にキスシーンとか作ってすみません(^^; 

この作品の感想です。
最っ高です〜!ティーダっぽいなってかんじで! NANA ■2005年02月16日(水) 23時08分42秒
っんにゃー!!めっちゃいぃ★感動にぁ! にょにょ ■2004年12月11日(土) 23時00分53秒
こういうのには弱い あっきー ■2002年01月09日(水) 11時32分19秒
やられた。。。 じょ ■2001年10月20日(土) 19時06分02秒
いい!!ティ−ダらしさがあって、大切な物があって!! ガイツ ■2001年10月09日(火) 20時50分18秒
上手いです。既存の小説の観念にとらわれてないところが○! Urd ■2001年09月26日(水) 22時55分20秒
iいいね〜vvv ラブラブだし。このkissシーンもいいですよ! AYAKO ■2001年09月23日(日) 00時36分39秒
ラブラブ〜。 Lucy ■2001年09月22日(土) 18時38分46秒
細かいところまでいいです。いいかんじー。 天野ゆきの ■2001年09月22日(土) 17時32分27秒
ラブラブでいーかんじですねっ! シホ ■2001年09月22日(土) 15時51分52秒
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