そして・・・会えた







     俺が・・・召喚された・・・だと?

     バカな・・・

     俺は・・・セフィロスと戦って・・・そして・・・

     そして・・・?

     思い出せない・・・

     何故だ・・・何故・・・


「あの・・・」
後ろから男の声が聞こえた。
「あの・・・大丈夫?」
「・・・・・」                           
「僕はラムザ、あっちは仲間の・・・」
「お前達の名前などに興味は無い・・・」            
「え・・・でも・・・」

     なんだ・・・こいつらは・・・見たことも無い服装をしている・・・

「何だよ、無愛想な奴だな」
「でもムスタディオ・・・急に召喚されたんじゃこの人だってこまるだろ?」
「異世界からやってきたようだし俺達と色々違いがあったりするんじゃないか?」
      
     異世界・・・ここは・・・俺がいた・・・世界じゃない・・・

     だめだ・・・俺は・・・こんなところにはいていられない・・・みんな     が・・・待ってる・・・

「キミの名前は?」
「・・・俺は・・・クラウド・・・そう・・・クラウドだ・・・」

「うっ!」
「どうしたんだい?!」
「頭が・・・痛い・・・」

     セフィロス・・・あんたか・・・俺は・・・・・

「うう・・・やめろ・・・目の奥がチリチリする・・・やめてくれ!・・・フィロス!」
「だ・・・大丈夫?」
「そうだ・・・俺は・・・こんなところには・・・いられない・・・」
「え??」
「俺は・・・いかなくてはならない・・・ここではない・・・あの・・・」
クラウドは家を飛び出していった。
「なんだよあいつ!」
「・・・・・ここではない・・・あの・・・?」




クラウドはとある火山を訪れていた。
「俺が唯一持って来た剣・・・」
クラウドは火山の頂上に剣を埋めた。
「俺はこんなところでは戦えない・・・ここは・・・俺の世界じゃないんだからな・・・」



「はぁはぁ、何処に行ったんだろ・・・」
「おいおいラムザぁ、あんな奴どうだっていいじゃんかよ」
「どうでもよくなんかないよ、彼は異世界の人なんだよ、この世界にはいていられないよ・・・」
「じゃあ・・・探し出してどうするんだ?」
「彼の・・・世界に・・・彼の行かなくてはならないところへ・・・」
「???」



とある町外れ

「とにかく・・・俺は帰らなければ・・・みんな・・・みんなが・・・待ってるんだ・・・」



(クラウド・・・覚えてる?あの日・・・給水塔で・・・)

(ビックス、ウェッジ、ジェシー、お前らの仇は絶対とってやる!)

(オイラは勇者セトの息子ナナキだ!)

(俺は・・・こいつに乗って・・・宇宙へ飛び立ちたかった・・・)

(オヤジ達は間違ってるよ!このウータイを観光地にしちゃってさ!)

(この身体は・・・私に与えられた罰だ・・・)

     
     みんな・・・


(ふっ、所詮お前は私のコピーでしかない!)
     
     
     セフィロス・・・



     そして・・・


(クラウド・・・私は・・・・・あなたに・・・・・会いたい・・・・)
     
     
エアリス・・・俺も・・・会いたい・・・



クラウドはその時、そんなことを考えていたのだろうか・・・
その数秒後・・・
クラウドは時が止まったように身体が動かなくなった・・・


「・・・・・?」
クラウドは青い眼を見開いた。
「まさか・・・」
目の前には一人の花売りの姿があった。




「あ!お客さんかな?」

クラウドの瞼は大きく震えていた。
なぜならそこにいた花売りは、声も・・・姿も・・・


    エアリス・・・
 

「ねぇねぇ、お花買わない?たったの1ギルよ、買わない?」
「・・・・・・」
「え?」
クラウドの声は驚きの余りかすれていた。
「どうかしたの?私の顔に何かついてる?」

「くっ・・・」
クラウドは背を向けた。
「どうしたの?」
「ちょっと・・・体調が悪いんだ・・・」
クラウドは彼女の顔を見ることに耐えられなかった。

      恐ろしい・・・恐ろしいほどそっくりだ・・・・

      セフィロス・・・・?

      そうか・・・またあんたの仕組んだ何かなんだな・・・


「はい」
「?」
クラウドは肩にとても暖かい感じを覚えた。
「これタダでいいよ・・・これで元気出してね」
彼女はクラウドに花を差し出していた。
「・・・・・」
クラウドは振り返ってその花をそっと受け取った。

     暖かい・・・この感じ・・・まさしく・・・エアリスだ・・・

     これは・・・セフィロスの罠か・・・?

     いや・・・たとえ・・・本物でなくても・・・これが・・・罠だったと     しても・・・

     俺にとっては・・・これはエアリスだ・・・・・絶対・・・

彼女は優しい顔で笑った。
「タダっていっても・・・1ギルだけどね」
「お前は・・・」
「え?」
「エア・・・・」


「あっいたぞ!あの花売りだ!」
     
     何だ?

「あ!」
花売りはその場から走っていく。
「・・・・・」
クラウドは呆然としていた。
男3人が彼女を追っていく。
「あっ・・・!」
花売りは段差に足をとられて倒れてしまった。
「へっへっへ・・・今日こそは払ってもらうぞ」
「だからそのお金は・・・」
「黙って払ったらいいんだよ!この薄汚い女が!」

     俺は・・・助けるべきなのか・・・?

     このまま・・・立ち去るほうがいいのかもしれない・・・

     もう俺は・・・戻れない・・・ここから立ち去って・・・一人で・・・

     (俺たちの・・・・・・・・・・・・)

     !?

     そうだ・・・そうだったな・・・バレット・・・
     


     ドガッ!
「何だ???」
3人のうちの一人をクラウドは殴り倒した。
「もう・・・俺は乗ってしまった・・・」
「なんだお前は!」
「もう・・・降りることは許されない・・・」
「何言ってんだ?!」
倒れていた男も起き上がりクラウドに詰め寄る。

クラウドは花売りを後ろにかばう。
「大丈夫だったか?」
「ありがとう・・・」
「へへ!1対3で勝てると思ってんのか!」
「・・・・・」
「へっ!やっぱり怖いのか!強がって言っててもやっぱりそんなもんか!」
「ふっ・・・俺は・・・あんた達などとは戦わない」
「何だと???」
一人の男がクラウドに殴りかかる。
「キャア!」


      バンッ!
その瞬間男の目の前を銃弾がかすめた。
「うわぁぁぁ!」
男は驚いて逃げていった。


「良かった見つけた!」
「まったく世話かけやがってなぁ・・・」
その銃弾はムスタディオの放ったものだった。
「ラムザ・・・俺を探していたのか・・・?」

「くそ!かかるぞ!」
男達は仲間を呼びラムザ達に襲い掛かった。
「よし!いくぞみんな!」



難を逃れたクラウド達

「助かった・・・大丈夫だったか?」
「ええ・・・ありがとう・・・」
「・・・・・」
「どうした・・・の?」
「本当に・・・似ている・・・」
「誰と・・・?」
「俺が・・・守れなかった人・・・」
「・・・・・」
「さぁ、ラムザ達が戦っている間に早く逃げろ」
彼女は困った顔をして、ゆっくりと頷いた。

     行かないでくれ・・・

     ・・・・・何言ってんだ・・・俺が行けっていったんだ・・・

     この時が・・・いつまでも続けばいいと思ってしまった・・・

     でも・・・エアリスを守れなかった俺は・・・
     
     彼女は守りたかった・・・

「早く行くんだ!」
彼女はゆっくりと向こうへ歩いていく。

すると彼女は振り返った。
「なんでだろう・・・あなたに会えてよかったと思う・・・」
「俺も会えてよかった・・・・・なぜか・・・そう思う・・・」
「ありがとう・・・」

     これで・・・よかったんだよな・・・・・


「・・・・・・・・・・・・」
彼女は振り向きざまに何かを言って走り去っていった。     

クラウドは呆然と立ち尽くしていた。
驚いているようだ。
しかし・・・ゆっくりと・・・・・笑った。

「ああわかった・・・エアリス・・・」


    
「大丈夫だったかい!クラウド!」
戦いを終えたラムザ達が戻ってきた。
「ああ・・・すまない・・・ラムザ・・・」
「そうだ!いきなりだけど僕らと一緒に来ないかい?キミの世界の情報がつかめるかもしれないよ?」
「・・・・・」
クラウドは少し沈黙したあと・・・
「ああ・・・俺は・・・行かなくてはならない・・・ここではない・・・約束の地へ・・・・」




    バレット・・・そうだよな・・・

    俺・・・何だか忘れてた・・・

    俺たちの・・・

    俺たちの乗った電車は・・・途中下車できないんだよな・・・

    俺は諦めない・・・

    必ず俺の世界に戻ってやる

    


    それと・・・

    花売りの彼女が立ち去る前に言った言葉・・・

    空耳・・・かもしれないな・・・

    いや・・・空耳にしておくほうが・・・いいかもな・・・




               
                


                  


        また一緒に・・・デートしようね・・・・・・クラウド
ケット
2001年11月20日(火) 23時28分35秒 公開
■この作品の著作権はケットさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
「会いたい・・・」の続編です。
結構がんばって書きました。 

この作品の感想です。
凄くいい作品です! 死神 ■2004年11月14日(日) 18時15分58秒
FFT知ってるけどとてもよかったです!!!ぜひ続きがあるならみたいですねぇ〜あ〜続き♪続き♪ ボコチョ ■2001年12月30日(日) 17時32分32秒
初めまして―☆ガイツです!おお、ラムザが出てきた☆すごくよかったです! ガイツ ■2001年12月23日(日) 10時53分20秒
かっこいい!!オレはあんたの才能にほれた!! あっきー ■2001年12月19日(水) 11時17分37秒
いーいですねえ! ???? ■2001年12月18日(火) 15時53分17秒
良かったですvv 続きは・・あるんですか・・? ゆら ■2001年12月17日(月) 16時50分36秒
よかったです〜。二つの話、よく合わさってて、いい味だしてるような気がします! ひかこ ■2001年11月23日(金) 22時36分12秒
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