FF11を語るにあたって避けられないのは、パーティを組んで色々な人と冒険するということです。
晩年はサービスが長期化しプレイヤーが減ったことでフェイス(普通のRPGみたいなAIの仲間)という仕組みが導入され、ソロでも色々なことができるようになりましたが、いわゆる全盛期のFF11は「一人で生きていくのは難しい」ゲームでした。
これには賛否両論あったと思います。
一応昔もソロでも時間をかければレベルは上げられましたし、そこそこの装備も集められました。
でもソロだと廃人装備は取れません。シナリオも最後まで進められません。
お金を渡して代わりに敵を倒してもらって・・・ということもできなくはないですが、それは相当にハードルが高いです。
活況だった当時から「もっとソロをやりやすくしろ!」とか「パーティを強制するな!」という批判は多々ありました。
でも個人的には、FF11のシステムは正解だったと思っています。
確かにパーティを組むのは面倒だし時間拘束も厳しいので廃人向けではあるのですが、それを補ってあまりある楽しさはあったと思います。
むしろ、色々な人と一緒に冒険をすることを放棄するのはオンラインゲームの楽しみの多くを失うことになってしまいます。
短期間ですが10年ぶりに復帰したヴァナディールは、確かに便利でソロでも色々できる世界になっていました。
ただ、ソロで色々できてしまうが故に他のプレイヤーとの接触はほとんどありませんでした。
もちろん能動的に接触すれば良いだけなのですが、ゼロから関係を作るというのはとても大変なことです。必要もないのに、自分一人でできるのに見ず知らずの人に話しかける人は多くはないでしょう。
一方で、一人ではどうしようもないことが多く、協力することがシステムとして半強制的に組み込まれていた昔のヴァナディールはゲームという娯楽の1つの完成形だったと思っています。
ジュノで3時間待って組んだパーティが最悪で経験値がマイナスになったこともあれば、偶然にも野良で何度か一緒になる人もいる。
仲間内だけではAFのNMが倒せないのでシャウトしてみたけど全然集まらなくて・・・でも最後には親切な人が助けてくれた。
確かにソロでゲームが進むのはとても便利です。
ですが、それは同時に多くの出会いを失うということに他なりません。
そもそも、人生って毎日いろんなことが起こりますよね。
良い事ばかりじゃないし自分ではどうしようもないこともあります。話の分かる人もいるし意味不明な人もいる。
でも、そういう人とも関わっていかないといけない日々があります。
そしてなにより、自分一人でできることは少ない。一人ひとりの力なんて本当に微々たるものです。
だからどんな形であれ協力しなければならないし、色々な人と出会い別れることになります。
RPGというのは、そういう事も含めて仮想世界を楽しむゲームであると思うんですよね。世界はファンタジーであっても、キャラクターの中には生身の人間がいるという前提であるべきなのではないかと。
だから仮想世界を体験できるMMORPGが、ソロだとできることが少ないのは当たり前なんです。
・・・いやおまえゲームに何リアリティ求めてるんだよ現実(リアル)が辛いからゲームしてるんだろ・・・とか言われそうですが、まぁそれはそうですね。
そういう目的でゲームをするならオフラインのゲームが良いってことです。オフラインのゲームなら自分が主人公なので自分が最強で自分一人でなんでもできますからね。
ただ、もちろん仮想世界だってゲームなのでリアルとは決定的に違うこともあります。
リアルだと誰かが襲われても助けに行くのは勇気が必要ですが、ヴァナなら迷うことなくケアルを飛ばせます。
リアルではぼっちな人も、ほんの少しの勇気でパーティを組めますし、敵を倒す、アイテムを取る、というキッカケがたくさんあるので他人との繋がりは産まれやすいです。
もしかすると、リアルも数百年前とかはそうだったのかもしれません。みんな生きるのに精一杯なので協力せざるを得ない世界だったのかもしれません。
でも現代ではそんなことなかなかありませんよね。下手に声をかけても通報されるかもしれませんし、助けに入って返り討ちにあったら目も当てられません。
ヴァナであれば誰でも小さなヒーローになれます。世界を救う勇者になれなくても、目の前の人に手を差し伸べることはできます。
そしてその力を得るためには長い時間がかかります。課金すればすぐに強くなれるわけではなく、リアルと同じで時間をかけないと能力は上がりません。
リアリティがある一方で、リアルよりも人との触れ合いが多い少し昔の時代のような世界。
そして、リアルと違ってかけた時間は裏切らない世界・・・。
それは思うように人生が進まない現代人にとって心地よい満足感を生んだのではないかと思うのです。
だからFF11はヒットしたのだろうと思っています。
FF11を蔑む言葉として「絆オンライン」という言葉があります。
これは絆を強制させるなという主張ではあるのですが、絆って色々なことを色々な人と共有して生まれるものだと思います。だからリアルだと絆なんてなかなか生まれません。
でも仮想世界であれば・・・生と死を賭けて生きるファンタジーの世界であれば・・・より多くの人が絆を感じる世界を創ることができる。
それを体現したゲームがFF11なんだと思っています。
数年間であれそういう世界にどっぷり浸れたのはとても良かったです。
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